小説

少年の記憶

夜が明ける 山の端にかかる雲が薄く色づき始める頃、少年はいつも通り目を覚ます。 他の住人たちはまだ寝ている。だから大きな音を立てないように、そっと寝床を這い出…

小説

炎の夢

何度も見た光景 瓦礫の山に、めらめらと炎が揺れる。無数の人々が火の海を走り回り、その様子を自分はぼんやり眺める。 漆黒の夜空がぼうっと赤く染まる けれど、音と…